残念ながらPepper(ペッパー)は失敗しました

ソフトバンクグループ傘下でヒト型ロボット「ペッパー」=写真=を開発・販売するソフトバンクロボティクス(東京・港)が、今年3月末時点で債務超過だったことが分かった。開発費などの負担が先行し、赤字が続くため。

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO18743060R10C17A7DTA000/

 

「これはまだ先行投資にすぎない」「やっぱり失敗だったか」など、様々な意見があるようですが、長くこのロボットに関わってきたぼくの考えでは、Pepperが今後盛り返すことはありません。このロボットは失敗に終わりました。

 

Pepperの何がだめだったのか、具体的に整理し、今後の反省と糧にしたいと思います。

 

デバイスの性能が低い

Pepperは電源を入れてからアプリが起動するまで(何かの仕事を始めるまで)数分間かかるということをご存知でしょうか?

また、胸についているタブレットの感度も極めて低く、画面をタップしたのに感知しないことや、遅れて反応することなど日常茶飯事です。具体的にいうと、居酒屋にある注文用タブレットより感度が悪いです。

Pepperの主機能であるべき年齢認識、人物認識などの各センサー類も、正常に動作するときとしない時が半々、よくて60:40といった割合でうまく動かないことが多い、という事実はあまり知られておりません。

 

何ができるわけでもない

同じロボットでもルンバは掃除ができます。Pepperは何もできません。

開発会社はPepperに無理やり何かの仕事をさせようと試行錯誤していますが、そのほとんどが実用的なレベルに至っておりません。その最も大きな理由は前述のデバイスとしての機能の低さにあります。

挙げ句の果てには、Pepperのタブレットしか使っていないようなアプリも出てきています。
言うまでもなく、それならiPadを使ったほうが費用面でも性能面でも良いものができます。

ルンバとPepperの最も大きな違いは、その機能が実用的であるかどうかです。

 

コストが見合わない

モデルによっても異なりますが、Pepperの購入費用は総額で120〜200万円ほどします。
Pepperの発表当初、本体価格198,000円という価格が注目を集めましたが、本体購入と同時に、加入必須の月額費用、保険に入る必要があるため、現実的に198,000円でPepperを手に入れる方法はありません。

そして、その費用に見合うだけの成果を出したという事例は、ぼくの知る限りありません。

 

期待させすぎた

 

2014年6月の、Pepper発表はかなりインパクトのあるものでした。その後も、Pepperに関するリリースはとても先進的な内容が多く、開発者も大きな期待を持って待ち望んでいました。

  • 世界初の感情を持ったロボット
  • 人間の感情を理解することができる
  • 人工知能Watsonと連携している
  • 人との会話の中で、Pepper自身が成長していく

当時、これらのようなキャッチフレーズが、普段ロボットに縁のない方々の間でも注目を集めました。しかし、これらは嘘と言われても仕方ないくらい、極端に誇張された紹介だったと言わざるを得ません。

そして、誤解されても仕方がないようなプロモーションビデオやCMも多数作られました。
開発者の視点から見ると、それらは現実のPepperの機能とは大きくかけ離れた映像や画像でした。

そのようにして、大きな期待と希望を人々に抱かせたPepper。
いざPepperが街に出て、直接人と交流した時、Pepperに初めて触れた人はこう思ったに違いありません。

思っていたのと違う・・・

Pepperはコミュニケーションロボットという位置付けでしたが、開発者も含め、みんなが期待したコミュニケーションロボットは、ドラえもんや鉄腕アトムのようなほぼ人間と同じようにコミュニケーションが取れるロボットでした。

 

しかし、(ぼくが)得られたものは大きい

プロジェクトとしては失敗に終わりましたが、ぼく個人は非常にたくさんの勉強をさせていただきました。

ロボットアプリを作る経験ももちろんですが、それ以上に世の中の知らなかった部分にたくさん触れることができました。

ぼくには信じられないことなのですが、PepperをCMでみたり、人から勧められただけで、実物に触れることなく100万円以上するPepperの購入を決めてしまう人がいるのです。それも、会社の社長等決定権を持つポジションの方に多いように思えます。
ぼくが思っている以上に、お金を持っている人はたくさんいて、それも思いつきで100万円単位のお金をポンポンと使っていました。

そして、人は自分が過去に肯定したものを否定することは難しい、ということも改めて感じました。

Pepperの実物に触れた時、すべての開発者は「こりゃ、使い物にならないな・・・」と感じたはずです。それでも、これからはロボットの時代、ペッパーによって時代が変わる、と言っちゃた人たちは、なんとかしてPepperを役に立たせたいと努力されていました。

しかし、これは手段と目的が逆になっています。本来、なにかの課題解決のためにロボットが開発されるべきであって、Pepperでできることはなにかないか?と思案していることは本末転倒です。

自分がどれほど入れ込んでいたものであっても、「すみません、勘違いでした」と言えるような人でいるべきだと学びました。

 

Pepperの契約プランやレンタル機関は3年間という縛りがあります。
2018〜2019年にかけてこの3年縛りが終わりますので、その時点でPepperは忘れ去られるでしょう。

今後、Pepperに代わるロボットが発売されるのか、それが市場に浸透するのかはわかりません。
ただ、どのようなロボットがリリースされても、実際に触ってみるまでは自分の中でイメージを膨らませすぎず、Pepperの失敗を活かしていきます。