「個人的には」と前置きする人は自分の意見を戦わせることができない

自分の意見を言う際に「個人的にはこう思うのですが・・・」「個人的な意見ですが・・・」と前置きする人がいます。

「個人的には・・・」の後にはその人の意見が続きますので、この前置きを付けても付けなくても文章の意味はほとんど変わりません。
なぜこのような前置きをしてから意見を言う人がいるのでしょうか?

 

意見の対立を恐れるが故の「個人的には・・・」

「個人的には・・・」と前置きをする人の心理は以下のようなものです。

  • 私の意見であって、みんながそうあるべきではないですよ。
  • あなたの意見を否定するわけではないのですが、私個人としてはこう思います。

どちらの意見が正しいかを明確なものにしないための言い回しが「個人的には・・・」なのでしょう。

この言葉を使う背景には、他人の意見を否定せず、自分の意見を主張しすぎないといった、意見の対立を恐れている心境が表れています。意識的であれ無意識であれ、意見が対立することを「よくないこと」だと考えているためこの言葉を使っているのでしょう。

 

違う意見によって議論の質が上げる

 

しかし、他人と意見が違うことは決して悪いことではありません。10人いれば10通りの考え方があるのは自然なことです。
そして、人は自分と違う意見を聞くことで自分の意見を改めて客観視することができます。自分の意見に足りなかった点を正し、また、他人の意見の不十分な点を指摘することで、全体としてよりよい方向に向かうことができるのです。

意見が違うことは必ずしも対立を意味しません。同じ目標に向かってはいますが辿り着くまでのルートが違うだけなのです。

 

「個人的には・・・」を多用する人は、自分の意見と他人の意見が異なることを「よくないこと」だと考えており、異なる意見によって結論をブラッシュアップさせるという議論の原則を知らない人です。